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生殺与奪の権を握っているのは私だ

You're completely at my mercy.

「鬼滅の刃」冨岡義勇の有名なセリフ「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」は、英語だとどうなるでしょうか。

オフィシャルではこうなっているようです。

Never leave yourself so defenseless in front of an enemy! (コミック英語版)

Don’t ever give others a chance to murder you! (アニメ英語版字幕)

海外ドラマで、「殺さないで下さい、お願いします」という場面はたくさんあります。

Please don’t kill me!
Please don’t hurt her!

それに対する義勇さんのような返しを探してみましたが、今のところ見つけていません。
生殺与奪の権を持っている側が得意そうに言う場面ならありました。

I’ve got you where I want you. Give in, give in. I will destroy you.
You’re completely at my mercy. (Sherlock 4-1)

どこまででお前を仕留めるかは私の自由だ。諦めろ、降参しろ。破滅させてやる。
生殺与奪の権を握っているのは私だ(お前は私の慈悲のもとにある)。
※ 何者かが何者かに追い詰められているらしき声が聞こえる……が?

「life or death decisions」だと、生きるか死ぬかの決断、つまり間違えると死ぬ選択の話になります。

No, you’re afraid. You don’t trust your instincts anymore.
Not good for someone who makes life or death decisions every day and that fear can be paralyzing, Leon. (NCIS 16-3)

いいえ、あなたには恐怖感がある。自分の直感がもう信じられないのでしょう。
毎日、生死に関わる判断をする人間にとって良くないことで、その恐怖感で身動きが取れなくなるんですよ、レオン。

生死に関わる決断といえば裁判官で(陪審員は有罪か無罪かを決める)、その象徴が木槌(gavel)です。
「クリミナル・マインド」シーズン14-15で、人質事件で犯人に無理やり従わされた判事が、恐怖の選択を強いられます。

Judge, you got to decide. That’s what you do, right?
Decide life or death with a flick of your gavel. (Criminal Minds 14-15)

判事、(どちらを殺すか)決めてくれ。それがお前の仕事だろう?
木槌の軽い動きで、生かすか殺すか決めるんだ。

状況を打破するためにFBI行動分析課メンバーの捻り出した方策は、まったく別の意味でショッキングでした。

さて、「他人に握らせるな」にしたい場合はどうしたらいいでしょうか。

Never let anyone decide your life or death!
Never ask for mercy!

これだと、前者はむしろ尊厳死を語る場合の方が使われやすく、後者はニュアンスがごっそり抜けてしまいますね。

やはりある程度は意訳して、「先輩の教え」らしい感じを入れるのがいいかと。そうするとオフィシャルの訳はなかなか良いのではと思う次第です。