メンタリスト
米CBSの「The Mentalist」(邦題:「メンタリスト」) はBruno Heller作・製作総指揮のドラマで、CBI(California Bureau of Investigation、カリフォルニア州捜査局)のコンサルタントとなったパトリック・ジェーンと仲間の捜査官たちの活躍を描きます。
ジェーンは優れた観察眼と人の心理を読み解く力、鍛え上げられた記憶力を持っていて、捜査にそれらを活用します。「メンタリスト」がジェーンを指すことは間違いないでしょうが、ドラマの中ではそのように言われてはいません。周囲が「サイキック(Psychic)」と表現することはありますが、ジェーンは過去にテレビ出演などでその肩書きを利用したことはあれ、自分はそうではないし、サイキックなんて存在しないと主張します。「MENTALIST」という言葉は、オープニングで定義が出るところをみると、英語でも誰もが知るような一般的な言葉ではなかったようです。
MENTALIST: Someone who uses mental acuity, hypnosis and/or suggestion.
A master manipulator of thoughts and behavior.
(メンタリスト 人の心を読み 暗示にかける者 思考と行動を操る者)
“mental acuity(鋭敏さ)”は、Information processing(情報処理力)、Memory storage(記憶貯蔵力)、Attention(注意力)、Situational judgement(状況に合った判断力)で表される脳の能力だそうです(What is Mental Acuity?)。
確かにジェーンは、それらの能力が高くて、催眠術や誘導術も使っていきます。
犯罪心理にスポットを当てたドラマは多数あり、そもそもシャーロック・ホームズの観察・推理も「お約束」になっていますが、学問的プロファイリングではなく、詐欺師が使うコールドリーディングなどのテクニックがベースになっているところが特徴的です。
ドラマは一話完結型で次々と事件を解決していきますが、ジェーンの家族をも襲った連続殺人犯の「レッド・ジョン」は誰なのかという大きな問題には、長い間つきまとわれます。
皮肉や悪戯が多用され、笑って見られる場面が多いため、シリアスな場面になると悲劇がより重く感じられます。
ジェーンは魅力的なヒーローではあるけれども、法には必ずしも従いません。正義とは、復讐とは何か、比較的安全な世界に暮らす人間としては理解し得ない部分もありますが、そのことで作品を批判する気にはなれません。
とはいえユーモア豊かなエピソードが多い初期が好みではありますが。
メインキャスト以外にも印象的なキャラクターが多く、現代の人間を描くことにおいてはとても成功した作品です。