アルファ雄
「alpha male」(アルファ雄、アルファメール、最優位雄、第一位オス)は犯人のタイプを考察する際によく出てくる言葉です。単に「alpha」とも言います。
いわゆる「ボス猿タイプ」で、自信に満ち、腕力やリーダーシップがあり、眼力ひとつで子分を意のままに動かす、強い男です。
ちなみに霊長類の研究者は、かつての概念が実態にそぐわないので、「ボス猿」という用語はもう使っていないようです。アルファ雄が必ずしも複数のメスを独占して遺伝子を残しているわけではないし、ボスの地位をかけて日々戦ったりもしていないようです。
参考
また、「alpha male」は、鍛えられた体形や服装などにも気を遣い、仕事もできて精力的なモテる男のことも言います。
気が弱い非モテ男子や草食系男子などは「beta male」となるようです。男性の大半はどちらにも属さないと思いますが、その名称は決まっていないようで、「omega」とか「released version」(αはβバージョンより劣る)などと呼ぶ人もいます。
さて、「クリミナル・マインド」12-15「獄中の洗礼(原題:Alpha Male)」では、若者が顔などに硝酸(nitric acid)をかけられる事件が相次ぎます。
被害者の性別や人種、交友関係に共通点はなかったのですが、再び事件が起き、犯人像が見えてきます。プロファイリングを進めたBAUメンバーは警察官を集めて説明を始めます。
Prentiss: He appears to be a follower of the man-o-sphere, a real and often disturbing corner of the Internet.
Lewis: In the extreme, it advocates for the overthrow if what it calls the oppressive feminist culture.
Walker: But it also pits men against each other, labeling them either Alphas or Betas.
Alphas are described as dominant and uber masculine, an ideal to be envied or copied.<中略>
Walker: He sees himself as a catch, a true Alpha male who has been overlooked by women and is superior to the men they choose over him. (Criminal Minds 12-15)
プレンティス「彼はマノスフィア(男性圏)の信奉者とみられます。マノスフィアはインターネットの一角で、リアルで不穏な動きを見せがちです」
ルイス「過激なものは、抑圧的なフェミニズム文化があるものとし、これの打倒を提唱しています」
ウォーカー「その一方、アルファ(勝ち組)かベータ(負け組、弱者男性)かで男性同士を対立させてもいます。アルファは支配的で男らしい男であり、羨望され模倣される理想的な存在です」<中略>
ウォーカー「彼は自分のことを掘り出し物とみており、女性たちが視界に入れていなかった真のアルファ男性なのだ、女性たちが自分を無視して選ぶ男性よりも優れている、と考えています」
※マノスフィアには男性優位主義、反フェミニズム、ミソジニーなどの考え方に立つものが多いですが、もともとは男性の権利や問題について考えるサイトの総称でした。
「CSI」5-6では、シーズン3で捕まえた凶悪犯が獄中にいるのに、類似の事件がまた起きてしまいます。共犯者がいるかもしれません。
Grissom: Well, to invite someone to join you for torture and murder would require a great deal of trust.
You would only do it if you knew you could completely control your partner.Willows: <人名> was the submissive. His partner is the alpha male. (CSI 5-6)
グリッソム「拷問や殺人に誘うには、かなり大きな信頼関係が必要だ。共犯者を完全にコントロールできるとわかっている場合に限られる」
ウィロウズ「<人名>は言うなりだった。共犯者がアルファ雄なんだね」
一方、「alpha female」という言葉は、頭がよく自信を持ち、女性的魅力と強さを備えたリーダー的女性を意味しますが、現状では定義が固まっていないと言えそうです。肯定的に使われる場合もありますが、周囲を自分の思い通りに動かす自己中心的な女性を指すことが多いようです。
「CSI」13-11ではニュースキャスターの女性が、良くも悪くも「alpha female」だったようです。
She felt threatened, so she alpha-femaled me. (CSI 13-11)
彼女は(番組での私の出世を)脅威に感じて、誰にも逆らわせず私をつぶそうとした。
※字幕の「彼女は」を「女王様は」とした訳、うまいですね。